「孫子の兵法」は中国人の聖書と呼ばれています。兵法書は中国だけではなく世界中に影響を与えていて孫正義やビルゲイツも影響を受けた戦略書の一つです。
始計篇(勝算のある勝負だけをせよ)
美容室の経営に例えると、新規事業を始める前に「慎重に計画を練る」ことを言っています。
技術だけでは美容室経営は十分ではありません。経営に関する勉強もせずに直感だけで事業を始めることはオススメ出来ません。
勝算のない事業は長続きせず一緒に働いているスタッフにも迷惑をかけることになります。
何かを始めるときには現実を把握して、「勝算はあるのか」よく考えた上で実行に移しましょう。
そこで孫子の兵法では勝算を計る方法として「五事七計」という「戦いの前のチェックリスト」が提示されています。
「考慮すべき五つの項目」と、敵と自分を比較する「七つの基準」があるのでチェックしてみましょう。
戦いの前のチェックリスト
五事(考慮すべき五つの項目)
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- 「道」志・理念
戦うための大義名分です。チームを結束させるためにリーダーが示す「戦う理由」のことです。
何のために事業をするのか。事業を通して地域の人々にどのような貢献ができるのか。
理念が明確でなければ、一緒に働いてくれるスタッフも、行き先の分からない船に乗っているのと一緒で不安になってしまいます。
なので「道」志・理念はスタッフ全員が共有することで、どこに向かっているのか明確になり安心と共に結束力も強くなります。
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- 「天」自然環境・時流
この先、これからやろうとするビジネスは将来性はあるのか。
このタイミングで出店すべきなのか。地域によっては都市開発などで車や人の流れが変わってくるのでそれらも予測する。
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- 「地」戦場の特徴・地形条件
戦においては敵陣に対してどこに自陣を張るかで勝負が決まってしまいます。
美容室をどこに出店するか、立地はとても重要です。出店を急ぐあまり地域の将来性や人の流れを考えず出店すると取り返しのつかないことになります。
「競合店はいないか」「自店の強みが生かせる地域か」「将来性のある地域か」しっかりリサーチしましょう。
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- 「将」リーダーの資質
「スタッフから信頼されているか」「自分のことだけ考えず、スタッフのことを思う気持ちはあるか」「率先して行動出来るか」「優しさの中にも、間違いはきちんと指摘し皆が仕事に責任をもって取り組むようにまとめることが出来るか」がリーダーの資質になります。
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- 「法」組織の体系
「法」とはシステムや仕組み、ルールづくりのことです。経営者、店長、スタッフの役割や仕事の責任が決められた通り遂行されているか。
店舗を運営する際に決め事も無しで行き当たりばったりの経営ではうまくいくはずがありません。
「七計」敵と自分を比較する七つの基準
- どちらの経営者がビジョンや理念を持ってスタッフのモチベーションを高めているか。
- どちらが良い人材を幹部として登用しているか。
- どちらのサロンが立地や集客に有利か
- どちらのサロンが規律やルールが守られていて意思決定が早いか。
- どちらのサロンがチームとして優れているか。
- どちらのサロンが個々のスタッフが教育されていて優秀か。
- どちらのサロンが、スタッフを公平に評価し報奨は適切に分配されているか。
まとめ
新たに事業を始めるときは慎重になって考えることの重要性が今回のポイントになります。
戦いの勝敗は強いか弱いかで決まると思われていますがそうではなく本当に勝ち続ける者は「勝てる戦い」だけを挑む者であることは歴史が証明しています。
小さなサロンは他店と競うのではなく、自店の強みを活かして「勝てる地域」「勝てるメニュー」「勝てる客層」で「勝てる戦い」をすれば、無理なく自店に合った運営のやり方が見えてくるはずです。