『「働き方改革」とは「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護の両立など、働く人のニーズの多様化」などの課題解決のため、働く人の個々の事情に応じて多様な働き方を選択出来る社会を目指す。』とあります。
目次
今までの雇用形態では通用しない
今までの美容室の働き方では、労働時間や有給休暇も十分整備されていなくても、技術を学ぶ為に頑張って働く趣向が強く、それが当たり前で特に違和感もありませんでした。
しかし今では国を挙げて「働き方改革」が叫ばれている中、美容業界でも「労働環境」「働きがい」のバランスを考えて経営をすることが必要になってきました。
美容室の労働時間はあいまい
今までの働き方では例えば9時に出勤して営業終了が20時、そうすると休憩時間を1時間差し引いたとしても10時間労働になります。その後にレッスンをするので家に帰るのは10時、11時になる場合もあります。
個人レッスンは労働時間に入れなくても、お店が開催する勉強会やミーティングなどは労働時間に加算されます。
入社してスタイリストになるまでは技術を習得する為に頑張れるのですが、スタイリストになったあとも営業終了後にアシスタントのレッスンを見たりミーティーングや講習会に参加したりとお店にいる時間が長い職種です。
まずは労働時間の整備から
今までは「後輩が先に出勤して掃除をするもの」「先輩が帰らないと後輩は帰りづらい」など、出勤時間は決まっていますが、どうしても先輩に気を遣って帰れず退勤時間が曖昧でした。
もし「働き方改革」を考えるなら、「勤務時間を明確」にする、営業時間が長いのであれば「シフト制」にする。又は「残業手当をしっかり支払う」などを考える必要があります。
店舗数が多い美容室やチェーン店などの顧問社労士がいる美容室であれば労務管理は整備されていると思うのですが、個人経営の美容室でもスタッフを一人でも雇用しているならば、しっかり勉強して整備しておきましょう。
ワークライフバランスを考える
ワークライフバランスというと仕事と生活を全く別々と捉えた場合、生産性が落ちるのではないかと心配になる経営者もいるかもしれません。
しかし生活と仕事のバランスをとることで「相乗効果」が生まれるとすればどうでしょうか。
生活が充実するから仕事も楽しくやりがいを感じる。もし自分の生活や家庭での心配事があれば、仕事も手につかないでしょう。
欲求の段階を知る
5段階欲求説は「人間の動機づけに関する理論」のことで人が何を望んでいるかを5段階に分けてに解説されています。
また職場のスタッフがどの段階の欲求にいるかを知り、その段階を満たすことで次の段階へと進めることが出来るのです。
◎第一段階の「生理的欲求」は生きていくための本能的な欲求で(食べたい・飲みたい・寝たい)生命を維持するための欲求。
◎第二段階の「安全の欲求」は安心安全な暮らしがしたい欲求で(安定した収入、身の安全、健康)などの欲求。
◎第三段階の「社会的欲求・愛と帰属の欲求」は仲間や集団の一員としてつながりたい欲求で(友達や職場、地域のコミュニティなどに所属する安心、社会から必要とされたい、他人から愛されたい)などの欲求。※これが満たされていないと孤独感を感じやすくなります。
◎第四段階の「承認欲求」は認められたい欲求で(他者からの評価、評判や地位、名誉、他人から認められたい、尊敬されたい)などの欲求。
◎第五段階の「自己実現の欲求」は本来の自分の真の欲求を開花させること。(他者から認められたいなどの評価というより自分自身の能力を生かして活動する生き方)自分らしく生きることの欲求。
承認欲求はすでに満たされているので、他人の評価は気になりません。ひたすら自己を磨き探求し自分の人生を生きている人です。
自分らしく生きるには
「安定した収入がほしい、先輩や同僚に認めてもらいたい、褒めてもらいたい、人間関係のよい職場」などの段階を充実させることが、活気のあるサロンづくりの第一歩になります。この段階が充実していないと不満や不安を感じやすくなります。
楽しく生きている人は「自己実現の欲求」の段階にいて自分自身の成長が目的になっているので、他人からの承認も気にならないし、周りの環境に依存することもありません。
常に自己成長の為に探求し続けます。自分らしく生きている人はこの段階の人です。
今のあなたは何段階の欲求ですか?
職場で誰が出来て誰が出来ないとかではなく、美容室オーナーは職場の「労働環境を整え」、先輩スタイリストは後輩を「認めて」、スタッフ全員で「人間関係の良い職場」をつくれば皆が「自己実現」の段階に近づきます。
人は相手の足りない所に目がいきがちです。相手の欠点ばかり攻めてもお互いの成長はありません。
出来ない理由を人のせいにするのではなく相手の長所を見つけ生かすことで、お互いの成長に繋がるのです。